大判例

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福岡高等裁判所 昭和24年(う)515号・昭24年(う)516号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(理由)

本件起訴状記載の公訴事實の要旨によれば「被告人は中津市市民市場において衣料品登録小賣業者の業を營んでいるものであるが法定の除外事由なくして昭和二四年一月二五日頃右自宅において住居氏名不詳の者から配給割當公文書と引換えることなく衣料品たる軍手十對外手袋、靴下、タオル、足袋等五五點を代金計八、七三〇圓で讓り受けたものである」というのであり變更された訴因の要旨によれば「昭和二四年一月二五日頃右店舖において妻房子(當五一年)が右被告人の業務に關しその代理人として住居氏名不詳の者から配給割當公文書と引換えずに、衣料品である軍手十對外手袋、靴下、タオル、足袋等五五點を代金合計八、七三〇圓で讓り受けたものである」というのである。

今右兩者の事實を對比するのに起訴状においては、衣料品を無切符で被告人が買受けたものであるとし變更された訴因においては、被告人が買受けたのではないが被告人の妻が被告人の代理人として被告人の業務に關しその衣料品を無切符で買受けたものであるとするのであり、買受行爲自體のみに着眼すれば前者においては被告人を行爲者とし後者においては被告人を行爲者でないとするのであるから一見全く異る事實關係に屬するものであるかのように見えるのであるが本件訴訟の目的物である實體關係すなわち法律的な事實關係の主要な點は昭和二四年一月二五日頃被告人方店舖において軍手十對外衣料品五五點が無切符で授受されたこと、そして被告人はその讓り受けについて法律上の責任を免かれない、という點にあると認められ、被告人の法律上の責任が被告人自身の手による讓り受行爲に由來するか、はたまた右代理人の讓り受行爲に對する業務者本人たる地位に由來するかは訴訟上必ずしも主要なる事項に屬するところではないと認められるのであり、このように訴訟の目的物である實體關係がその主要な部分において一致するときはたとえその主要でない點において多少相違するところがあつても、公訴事實自體は、その同一性を害するものでないと解するのが相當である。論旨は右と異る見解に出るものであつて採用の限りでない。

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